転職を検討している時は、当然転職サイトに登録して色々な企業の募集要項を確認すると思います。どの企業に行きたいかは人それぞれですが、個人的な経験から、絶対に避けた方がいいと思う企業があります。
それはオーナー企業です。
僕は2社目に就職した会社がオーナー企業でして、それはそれは大変でした(今は別の会社で社畜しています)。
もちろん、オーナー企業の全てがお勧めできない訳では当然ないのですが、仮に僕が今後また転職活動をする事になったとしたら、オーナー企業だけは絶対に避けます。
ここでは、僕の経験をもとにオーナー企業の実態の一例をご紹介します。
目 次
オーナー企業と知らずに入社した、地元の超有名企業
当時僕は、留学先から帰国して、就職先を探していました。結婚も視野に入れていたので、できるだけ安定した企業への就職を目標に、転職サイトに掲載されている企業情報を日々チェックしていました。
初めての転職活動だった事もあり、今となっては当たり前の知識が無く、転職情報サイトに書かれている情報を鵜呑みにして応募したりしていました。
また、1社目が猛烈企業戦士歓迎の激務上等な会社だったので、2社目は結婚する事もあって残業は少なめと思われるバックオフィスの職に就こうと決めていました。
そんなこんなで日々情報をチェックをしていると、とある企業の募集が目に止まります。
あ、この企業の事はよく知ってるぞ。
関西では超有名、知らない人はいないのではないかと思うほどの知名度。安定感も抜群っぽい。しかもバックオフィス(事務方)の募集だぞ。加えてオフィスも梅田でめちゃくちゃ綺麗なビルの上層階だぞ!なんかカッコいい!
よし、応募や!
という事で、待遇面やその他の条件はあまり重視せず、とりあえず応募してみたというのが最初です。
書類選考通過、順調に面接を重ね、無事?内定ゲット
書類選考、面接と進み、特段怪しいと思うような事もなく、最終面接を迎えました。なんなら、面接に行った際はフロアにいた従業員全員が立ち上がり「いらっしゃいませ」とおもてなしをしてくれるんです。なんて教育の行き届いた会社なんだと、むしろ感動してしまいました。
最終面接は役員兼人事部長との1対1の面接で、入社意思の確認など無難なやり取りだったと記憶しています。
その際、入社を決めてしまった決定打がありまして、実はその会社の創業者(僕が入社した時のオーナーは2代目)が、僕の実家のすぐ近くで会社を興したという事だったんです。
僕の履歴書(住所)を見て人事部長がそんな事を教えてくれて、なんだか運命的ですね、などと心をくすぐられることを言われてしまい、すっかり運命だと勘違いをした僕は、晴れて採用、入社に至ったというわけです。
ちなみに、当時掲載されていた募集条件は以下のような感じでした。もうね、避けるべき条件ばっかり。信じられない!
【条件面】
- 年俸制(=残業代でない)
- 固定残業代含む(=残業代でない)
- 週休2日制(=「完全週休2日制」ではないため、週休2日じゃない週も普通にある)
- 年間休日110日(=少ない!)
- (転職情報サイトには詳述されていませんでしたが)資格手当やボーナス等もなし。本当の意味で、固定給×12=年収
唯一、確定拠出年金制度がありましたが、会社積立は確か、3,000円/月だった気がします。うーん…少ない。見かけ上の高い固定給に惹かれてしまいましたが、年収換算すると激安で、完全に失敗でした。
余談ですが、退職してしばらく経ってから当時の家庭の収支を妻に聞いてみたところ、実は毎月赤字だった、私の貯金から少しずつ補填していたと聞かされました…妻よ、苦労かけてごめん…。
入社後に分かった会社の実態
入社初日、ドキドキしながら出社し、直属の上司に挨拶をしたのですが、冗談なのかマジなのか、開口一番「自由とかないと思ってな」と言われたのをよく覚えています。
…初日からヤバくないですか?僕は「終わった。入る会社間違えた。」と入社初日に思いましたね笑
まぁ、その人自身はパワハラ気質はあったもののそこまで悪い人では無かったのでまだ良かったのですが、やっぱりなんと言っても、オーナーがめちゃくちゃな人だったんです。
最初の1年くらいは、末端社員の僕に直接火の粉が飛んでくる事はありませんでしたが、先ほどの上司が退職してからは、当然ながら僕が矢面に立つ事になりました。
実態をうまく説明するのが難しいので、思い出せる限りの情報を箇条書きにしてみます。
- 上司に連れられてオーナーのもとに入社挨拶に行ったところ「誰やお前」と吐き捨てられた。…僕連れてこられただけなんですけど(;゙゚’ω゚’):ガクブル
- オフィス内に監視カメラが付いており、どこにいても監視されている
- 噂では盗聴器も仕掛けられていた(総務の人が「本当にありますよ」と言っていましたが真相は闇です)
- ほんとにすごいスピードで人が辞めていく。1ヶ月でいったい何人辞めるんや、みたいな感じ
- 新卒入社面接をしている応接室のすぐ隣で、オーナーの怒鳴り散らす声が聞こえてくる。採用面接を何だと思っているのか…
- オーナーから内線があった場合は、例え役員であっても、どこで何をしていても走って速攻駆けつける
- 上司宛にオーナーから内線がかかってきた時、離席している場合はすぐに電話をかけてオーナーのところに行って下さいと伝える。電話がつながらない場合は探しに行く
- オーナーと揉めて?左遷された当時の専務執行役員が、全く関係ない部署の平社員(私)の隣に何の前触れもなく引っ越してくる
- ある日突然、全ての仕事を全く振られなくなる(僕の上司がそうなりました。理由はわかりませんが、事実上のクビです。それが理由で、先ほどのパワハラ上司は退職しました)その日から、今まで上司に来ていた各種連絡が、何の前触れもなく全て僕に来るようになりました
- オーナーに意見できる人は誰もいない。本当に独裁者のよう
- 年俸制で残業代が出なかったので、未払い残業代の支払いをめぐって若手社員と会社の間で訴訟になっていた
- コロナの期間は部署によりテレワークが推奨されていたが、テレワーク期間が終了した後も、仕事ができない社員はいつまで経っても出社の指示が出ない(事実上のクビ)。当然、仕事の指示もない
- オーナーの親族から会社に電話が来た場合は取り継がないように社内通達が出る。専用の応答マニュアルみたいなものが作られ、その通りに回答する事を命じられる(相続や権利関係で揉めてたらしい。お金持ちは大変)
- 業務用のPC等にはお金をかけない。僕がいた頃は社外メール無し、社内メールのみで容量は200MBでした。フォルダがすぐいっぱいになるので、毎日メール削除に追われてました
- それに関連して、PCにはWordやExcelなどのOfficeが入っておらず、代わりに類似ソフトが入っていた。使い勝手はそこまで変わらないが、PCによりOfficeが入っていたりもするので、それぞれのソフトの互換性がなく、非常に不便
以上、思い出せる限り列挙してみましたが、いかがでしょうか。このような環境下で毎日猛烈に働くことが想像できるでしょうか。しかも給料も安い。全く割に合いません。
もしも今、オーナー企業で似たような環境の中でストレスを抱えながら働いているのであれば、多少のリスクを取ってでも、転職を検討することをお勧めします。ご家族がいるなら尚更です。
会社が大きくなるにつれてオーナー企業の社内で歪みが生じる理由
勢いのあるオーナー企業は、役員を含め役職付きの人はオーナーを崇拝している傾向があります。これは、割と多くのオーナー起業に当てはまると思います。
創業初期の従業員の多くはオーナーのカリスマ性に惹かれて入社しているので、彼らは芯からの企業戦士です。オーナーに惚れているので、当然オーナーのために、会社のために、一所懸命に仕事をします。
そうして時間が経つ毎に会社の規模も大きくなり従業員も増えていきますが、それに合わせて先の企業戦士達が出世していき、どんどん影響力が大きくなります。
そのうち初代オーナーが現役を退き、2代目オーナー(多くは初代オーナーの親族)が会社の経営を引き継ぎます。その時点で、初代オーナーに惹かれて出世した企業戦士達が、オーナーの思いを継いで重役として会社を経営していますから、やはり体質としては変わりません。
ただし、その頃にはすでに会社がある程度の歴史と規模を有しているので、それ以降に入社してくる従業員は、オーナーに惹かれる云々ではなく、通常のマインドを持った人たちが入社して、社員として働き始めます。
なので、主に重役はオーナーの代弁者、その下で働く人たちは普通のマインドセットを持った従業員、という構成に変化していきます。
上記の流れが確実に進み、組織内で以下のような図式が出来上がります。
2代目オーナー+初代オーナーの代弁者たる重役達(無理難題を強いたり独裁政権を発動する側)
vs
普通のマインドセットを持って働いている従業員(無理難題を強いられてメンタルをやられる側)
という図式ができあがります。これが、オーナー企業において会社が大きくなるにつれて歪みが生じるようになる理由の一例です。
おわりに
それなりに大きな規模のオーナー企業は先に書いたような状態である可能性があります。なので、くどいようですが、就職や転職をするならオーナー企業は避けた方が無難でしょう。もちろん、その会社のオーナーに惚れてぜひ入社したい!というのであれば話は別ですが。
労働環境や人間関係などの理由で転職を検討している、もしくはごく普通に安定した企業で長く働いていきたいと思っている方にはおすすめできません。
オーナー企業かどうか、実情はどうか、みたいな情報は転職情報サイトからは確認できないかもしれませんが、今は口コミサイトなど色々なツールがありますので、インターネットで検索すれば、ある程度の情報は得られると思います。
人生を左右する転職という名の魔物。吉と出るか凶と出るかは、あなた次第です。
それではまた。
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